NAOYA OHKAWA
EXPERIMENT
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その町には季節と時間がなかった。
長い昼が続いて、夕暮れや夜が不規則にやってくるだけだった。

吹く風は肌に障らず、点々と生えた椰子の影が揺れるのを見て、風が吹いていることを知った。
科学的か、もしくは医学的に計算し尽くされた液体に浸かっているように、暑くも寒くもなかった。
乾いても湿ってもいなかった。

点在するテニスコートほどの大きさの黄土の広場に何軒かづつ、平屋建ての家がバラバラな方角を向いて置かれている。
年代も国籍もわからない、ノイズを含んだ音楽がどこかから小さく聴こえている。
見たこともない造形の花は、かいだことのない匂いだった。
商店は開け放たれていて、プレファブ小屋に麻の暖簾をぶら下げて静かに営業していた。

水と煙草とよくわからない形をしたライターを買って、背丈より高い枯れた草むらを抜けて海へ出た。
乳白色の砂浜に、底に黒いなにかを隠したように青い海が迫っていた。

そういう土地の記憶がたまに頭をよぎる。
どこかで聞いてきた話か、本で読んだのか、夢に見たのか、どこかの土地に想起されてそういう想像をしたのか。

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このページは、実際の風景の断片的なスナップ写真と、撮影時に実際にあったことを記録した散文を無数に並べて、あの幻の海の町を再現する実験のためのページです。
写真をタップすると、その先のページに、記録が書かれています。

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LAST UPDATE:2019.12.20

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