幻の海|NAOYA OHKAWA

他所者でいるのは気が楽だけれど、なんと言い表したものだろう、足元がふわふわとした感じがすることはそうだろう。
どこにいても、彼のことを見かける。大量生産で作られた赤いコーンは、多少の差異はあれど、基本的には同じ様子でそこに立っている。
昔、ある哲学者が「炎は全て同じである」と言ったそうだが、赤いコーンもまたそうなのかもしれない。

見慣れぬ裏通りの、慣れぬ匂いをかぎながら心細かった。
ああ、こんなところにいたのかと、赤いコーンにさえ、親近感を覚えた。

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